モネ、ルノワールと印象派展 Bunkamuraザ・ミュージアム 3/7 



印象派展にも行ってきました。目玉はやはりモネとルノワール。この機会に偉大な二人の画家について少し書くとしよう。

 *まずはルノワールについて。  ルノワールは人物画を中心に描く画家ですが、数ある作品の中でも恐らく彼のお気に入りの人物か、もしくは思い入れの強い作品には観るものをぎょっとさせてしまうような何かがある。
今回の展示では彼のお気に入りの甥を描いた一枚がそれだったように思う。その絵の前に立つと、今にも動き出しそうなほどの生気を帯びているので、観ていられないほど怖くなってしまうのである。

それに気がついたのはいつのことだったろうか。随分前にどこかへ旅行に行ったときに観た少女の一枚が、正にこちらが怖くなってしまうほどの生気を発散していて、いつまでも頭から離れなかった。その時私はなぜルノワールが巨匠と言われているのかが分かった気がしたのである。  

それ以来、ルノワールというと、裸婦もしくは柔らかいタッチと色彩で少女を描く画家というイメージから、モデルの生気までもキャンバスに写し取ってしまう恐ろしい画家という全く違った視点で観るようになった。
といっても、彼の全ての作品にそれが現れているのではない。ごく希にそうした人間業とは思えないような作品があるのである。実際、美しさというよりもむしろ一体どうして、物理的には布というキャンバスの中に人の生命までも写し取るなどという神業に近いことが可能だったのかということの方に私は感動してしまうのであり、色々と想像を巡らして止まないのだ。

 *次にモネの今回の作品について。 この印象派画家の作品がずらりと並ぶ展示会の中でも、 やはり私はモネが一番好きだった。(旅行記に、ジルヴェニーにある モネの庭を訪れた文章を載せた)
 一番良かったのは、 ベネチアを描いた一枚で、あのドゥカーレ宮を対岸から描き、 眩い光の中に揺らめきまるで夢の中にいるかのような絵であった。ピンクを基調としたパステル調の明るい色彩が画面全体を覆い尽くし、その中にぼんやりと対岸の景色である建物がシルエットとして浮かび上がっている世界にしばらく魅せられた。この一枚を観れただけでも行った価値はあったと思う。私は風景画でここまで心を動かされるのは他に東山魁夷画伯である。モネについては他に沢山書くことがあるが又の機会に。

Posted: Sun - March 7, 2004 at 10:14 PM      


©