チェーホフに惹かれるのは



チェーホフの作品は、どこにでもありそうな日常を描いているようで、
実は所々にはっとさせられる非日常へと続く断片が埋め込まれている。

それを真理と呼ぶのがふさわしいのか、普遍と呼ぶのがいいのか。。

私にはアンダーラインを引く癖があるのだが、
チェーホフを読んでいると、線を引きたくて仕方のない箇所によく出会う。

それらに共通しているのは、私たちの生活の中に埋もれているが、
それを深いところで掘り起こしてほしいと願っている深部の、上手く言い表せない声を、
絶妙な言葉で表現してくれているということ。

それは、一般に文学とか芸術とか呼ばれているものに共通するものだろうけれど、
たまたまチェーホフは私の感性にぴたりと合って、
私の内部に存在しているものに深く共鳴する。

きっとこれこそがチェーホフにこの上なく惹かれるなのであろう。

Posted: Mon - April 12, 2004 at 06:05 PM      


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